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政権交代が現実のものとなった。しかし、革命が起こったのではない。世の中の仕組みがそんなにすっかりと変わろうはずがない。
だが、新政権は、「『障害者自立支援法』廃止、『障がい者総合福祉法』制定」を宣言している。障害者を取り巻く状況がどう変わるのか不安である。『障がい者総合福祉法』とはどんな法律なのか、選挙直前にその名を耳にしただけで、どんな中身なのか全く分からないからである。
『障害者自立支援法』は当初から私たちが見抜いたとおり「悪法」であった。「悪法」なるが故に、次々と場当たり的な手直しがなされ迷走した。最後にはどの政党も「廃止」か「抜本的見直し」と公言した。だが、目指すべき方向性すら何処にも語られていない。
今求められているのは障害者福祉の本質に迫る論議だ。その論議は障害当事者の声を抜きには成り立たない。もし慌てて、例えば「利用者負担」を「応能負担」に替えるだけの「見直し」や、法の名称変更というような小手先の改革なら、再び迷走すること必至である。
本質に迫る論議の中には、例えば小規模作業所についての議論も含まれねばならない。全国に六千を越える作業所は障害者自らや家族などの手で、地域社会と結び付いて生み出された。だが、自立支援法は作業所を法の体系に移行させ全国の作業所をなくするように迫って来た。私たちは阪神淡路大震災の教訓として、障害者が安心してくらせるためには地域に「人の絆」を密に張り巡らせることと総括した。そして、地域に小さな「生きる場」としての作業所を作り出して来たのである。それは地域の福祉街づくりとしても追求されねばならないと考えている。そういう観点を論議せずに財源だけから判断して新体系へ移行させ、作業所をなくすことはどうなのか、本質的論議として検討されねばならないのではないか。
明石市は早くも政権交代に伴う民主党のマニフェスト(政権公約)が市政に与える影響を分析するプロジェクトチームを設置した。その具体的課題に「後期高齢者医療制度」や「障害者自立支援法の見直し」を上げている。新政権の動きを見つめよう。
「KSKRえんぴつの家だより」第292号 2009.10.10.発行
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